びぶらアート公演を前に

  「カルメンと私」         伊原直子

   日本声楽家協会  NPO法人日本の音芸術を創る会 会報   「日本の声 日本の音」 2006年10月ー11月号 オピニオンより

   一九六〇年、来日イタリア歌劇団公演、シミオナートのカルメン、デル・モナコのホセが最初の出会いだった。当時一般家庭にはテレビは殆どなく、私は友人宅で観た白黒テレビから流れる声のドラマに強い衝撃を受けた。今なおその感動は消えない。その後声楽の勉強を始めたが、まさか「カルメン」を歌うことになるとは・・・。
 今から三十七年前のこと。指揮者のM先生自らの演出だったが、何をどう動いてよいのか殆ど決まらない状態。「色気がない・・・・」と言われ続けるなか、メリメの原作を読み、楽譜・テキストから自分なりに人物像を作り上げる試行錯誤の毎日。今のようにCDやDVDがあるはずもない時代。フラメンコを即席で習い、デス・ロスアンヘレスと出たばかりのマリア・カラスのLPレコードを聴いては、ため息をつき、また雑誌やテレビから動きのヒントを探し出したり、練習場の大きな鏡の前で一人、あれこれ動きを研究したり、諸先輩のアドバイス、サポートを受けながら無我夢中、若さを頼りとした公演だった。その後幸いにも様々な指揮者、演出家と公演する機会に恵まれ、そのたび毎に触発されるものがあり、発見があったことに心から感謝している。
 フランス・ストラスブール歌劇場でのカルメンは新演出、G・ラヴェッリ。私の出番は一ヵ月後ということで、稽古は見学していたのだが、ある夜、劇場から連絡があり「明晩のカルメンが急病。ラヴェッリの演出は貴女しか知らないので、歌ってくれ・・・」とのこと。青天の霹靂とはまさにこのことで、立ち稽古を実際一度もやっていない私は命がけでぶっつけ本番。どうにか無事に「殺された」わけだが、得がたい経験となった。年を重ねるごとに、演奏と聴衆の関係は、キャッチボールのようだと思う。よい球が投げられれば、瞬時に客席に伝わり、波動となって演奏者に投げ返されてくる。ホールの音空間で、人と人が深いところで結ばれ、ひとつとなるのだ。
  人間の声の持つ表現力と、素晴らしい音楽。一瞬にして消えて行く音楽だが、その瞬間に生命溢れるものとなるよう全力を尽くしたい。今回のびぶらアート公演では私のカルメン体験の原点へと導いてくれるだろう。
羽根田、今尾、志田さんという最高の歌手仲間の皆さんと服部さんという素晴らしいピアニストとつくる、声のドラマ「カルメン」。ぜひ多くの方にごらん頂きたいと願っている。

 

 

 公演日

20061128日(火) 開演:19:00(18:30開場)

  場所  

第一生命ホール (都営地下鉄大江戸線「勝どき駅」徒歩8分

  料金 4,500円(自由席)/8,000円(ペアチケット)  ※1席あたり500円追加にて《特別指定席券》を別途購入頂けます
  プログラム

第1部   様々な作曲家による歌
第2部   ビゼー作曲 歌劇「カルメン」 (びぶらアートオリジナル版)

チケット取り扱い  
  チケットご希望の方は、下記
電話」「FAX」「申込フォームよりお申込みできます。
   ●NPO法人日本の音芸術を創る会 (一般チケット、ペアチケット、特別指定席)
    電話番号:03-5834-0615  FAX番号:03-5834-1235 FAX申し込み用紙

    
  
  下記プレイガイドからもお申込みできます。
   ●
チケットぴあ  0570-02-9990(一般チケットのみ)
  東京文化会館チケットサービス 03 -5815-5452(一般チケットのみ)


主催:日本声楽家協会 NPO法人日本の音芸術を創る会   問合せ:03-5834-0615


予定プログラム


第1部


1 宵待草(羽根田) 
2 悲しき歌 デュパルク (羽根田) 

3 Tu lo sai Torelli (志田) 
4 落葉松(志田) 

5 木兎(今尾)
6 別れの前に「ファウスト」(今尾) 

7 歌に生き恋に生き「トスカ」(羽根田) 
8 プロヴァンスの海と陸「椿姫」(今尾)
9 誰も寝てはならぬ「トゥーランドット」(志田) 

 

                             第2部

                      ビゼー作曲 歌劇「カルメン」 
                     
〜びぶらアートオリジナル版〜

                        カルメン     伊原直子
                        ホセ        志田雄啓
                        ミカエラ      羽根田宏子
                        エスカミーリョ  今尾 滋

 

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